<所在不明株主の発生を事前に防ぐには>

 中小企業で、会社設立当時に初代オーナーが数名の知人や設立時取締役数名に出資してもらったが、設立から数十年以上経過し、世代交代等も進み、所在が分からない株主が何人かいる等で頭を抱えている社長さんを時々お見受けいたします。

 この様な場合、下記の条件を満たせば所在不明株主の株式の競売・売却が可能となります。

(1)継続して5年間、株主に対する通知および催告が到達していない場合
(2)継続して5年円、剰余金の配当を受領していない場合(無配含む)
(3)売却処理に異議があれば一定期間内(3カ月以上)に異議申述をすべき旨の広告および個別催告を行い、異議申述が無い場合

 また、所在不明株主の株式につき、取締役会決議または取締役の決定により、自己株式の取得も認められています。
上記要件を満たしたうえで、市場価格の無い株式((いわゆる非上場株式)は、裁判所の許可を得た上で買い取ることが出来ます。

 ただ、上記のようなケースに陥ると、手続きが非常に面倒です。

 では、どうすればいいのか?

定款で、「株式取得条項」を定め、それを登記してしまうのが一つの解決策です。
これは、会社設立時に同時に行ってしまうのが一番ベストですが、設立時にやっていなくても、株主全員の所在が分かっているうちにやってしまえば、所在不明株主の発生を事前に防げます。

具体的には、以下の様に定款に定めて登記します。(あくまでも一例です)

第○条  次に掲げるいずれかの事由が生じた日に当会社は当該株主の株式を取得する。
       一 株主が当会社を退社したとき。
       二 株主と当会社との委任関係が終了したとき。
       三 株主が死亡したとき。
   2   前項に基づき、当会社が株式を取得するときは、株式1株を取得するのと引換に当該株主に対して現金1万円を交付する。ただし、取得日における会社法第461条第2項に定める分配可能額を超えることができない。

登記の際は、「発行する株式の内容」として登記されます。

後の世代に面倒な手続きを残さないためにも、株式取得条項の登記をお勧めします。

コンサルタント 柿原 健作